IMG_5752
3日からの桃居での個展には流木に彫模様を入れたものも10点強出品します。昨年末、FUUROでの個展に初めて1点出品しましたが、それは拾ってきた流木をそのまま壁にかけていた時に感じた違和感から、形そのままに模様を彫り込んでみたところ全く違ったものに変化した面白さを分かち合いたいと思ったことがきっかけでした。以後この手のものを制作する時には毎回感じることは、全面彫り終わる瞬間まで「ああ、こんなことやらなければ良かった」ということです。自然物として美しかった流木に少し刃物を入れるだけで突然醜いものに変化してしまうのです。何度やってもみても、「また膨大な時間の無駄遣いをしている」と思ってしまうのです。しかし時間をかけて彫り続け、刃物の跡に覆い尽くされた瞬間、そのものはなぜか突然、古代の道具のように見えてくるのです。

人が作るというのはどういうことなのだろう、何に人が作ったものらしさを感じるのか、問い続ける毎日です。

今朝彫っている時に、まだ木に興味を持ち始めて間もない十代の頃、実家の庭で切った山椒の木を削って擂粉木を作ったことを思い出しました。のこぎりで長さを切って、表面をただただ削っただけで道具化してしまう。今流木を削ってやっていることは、具体的用途があるかないかという差はあるにせよ、これと大して変わらないことなのかもしれません。

富井貴志展
2020.7.3 Fri. - 7.7 Tue
3日、4日は在廊
11:00 - 19:00 最終日は17:00まで
桃居
東京都港区西麻布2-25-13