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個展の時などお客様とお話しさせていただいていると、食器の取り扱いについてはよく質問されますが、箸については全くされません。ただよくよく考えてみると、箸は使用頻度が高く、細くて表面積の体積比が大きいため、一番傷みやすいものです。僕は小さい頃から正月に箸を取り替える家庭で育ったので、現在作っている拭漆の箸はその感覚で作っています(白漆のものもたまに作っていますが、そちらはより耐久性が高いです)。

皿や鉢は木地のものであれ漆のものであれ、我が家では使って洗ったあとに水切りかごに放り込んでおくことが多いのですが、箸は拭いています。きちんと水気を拭き取ったものと水切りかごに放置しておいたものを比べると、間違いなく数ヶ月後の状態に差が出てきますので、ぜひ実践してみてください。

それでも箸先の漆は徐々にすり減ってきます。お客様の中には個展の時に手入れして欲しい箸をお持ちくださり、次の個展の時に直したものをお渡しするという方もいらっしゃいます。1年で取り替えるのも良いですし、時間はかかりますが僕がメンテナンスするのも良いです。もしも漆に触ってみたいという方でしたら、ネットやハンズなど(近くに漆屋さんがあればもちろん漆屋さんで)で「生漆」を少しだけ買って(40gくらいのチューブ入りでも売っています)ご自分で手入れすることもオススメです。かぶれないようしっかり手袋(ビニール製のものが良いかと思います)をはめて布やティッシュに少し漆を取り、塗って拭き込み少し湿度の高いところ(プラスチックケースに濡れた新聞紙を入れた上に直接新聞紙に触れないよう用意した台の上に箸を置いて、ダンボールなどで蓋をする)で乾かすことを3回以上繰り返してもらえば、新品同様になります。漆がすり減ったところだけ塗るのも良いですが、もちろん全体を塗っても良いです。興味のある方はぜひ試してみてください。

いつもどうでもいいような話題ばかりのブログですが、たまに取り扱いについて書いていこうと思いますので、カテゴリ「取り扱いとメンテナンス」を時折のぞいてみてください。