遡ること千余年、古の工人たちは、滑らかに仕上げた仏像の肌に鑿目を残すことを始めました。鑿目によって木目は波うち、肌に陰影が現れる姿は、仏様が完全な形へ近づく過程におけるゆらぎでしょうか。
松本市にある松本民芸館にはイタリアの人が作り使った大きなパン捏ね鉢が置かれています。生木を彫ったであろう両端に耳のついた細長い鉢は、なにか別の形に生まれ変わろうとするかのように捩れています。
時代も場所も全く異なるパン捏ね鉢と仏像に残る鑿目をお手本に、楢の木を使って器を作りました。一日三食、どうぞ色々なたべものとともに食卓へ運んであげてください。
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