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拭漆の四角い皿。四角い皿を作ったのは久しぶりだけれど、今年はしっかり作りますよ。
先程最後の重箱が完成。今日最終納品して明日の個展初日を迎えます。どんなふうに展示してくださるのかとても楽しみ。

Simple ↔︎ Complex
[富井貴志/Japan,Niigata Wood Bowls] 
2020.1.4 Sat. - 1.13 Mon.
F/style Niigata 
11:00 - 18:00 会期中無休
エフスタイル 1Fショールーム 
新潟県新潟市中央区愛宕1-7-6
作家在廊日:1/4
トーク:1/4 16:00 - 17:00 参加無料(要予約 mail@fstyle-web.net、店頭もしくは 025-288-6778まで) 
富井貴志+F/style 五十嵐恵美+星野若菜

木で道具を作って使っていただく。とても単純化して考えてみると、そこには素材である木、作った僕、使ってくれるあなたが存在します。ものの完成度を高めるほど、木と僕は近づくことができて、それはそれで僕としては気持ちが良いことですが、木と僕の蜜月関係に使うあなたは入りづらい。木と僕の距離をうまく調整して作り上げると、繰り返しあなたに使われることで、ひとつのものの中で木と僕とあなたは徐々に接近し、究極的には3者が不可分な状態になってしまうと思うのです。そんな状態が、自然と人、人と人の理想的な関係をあらわしていると考えて制作しています。


いっぽうで僕の仕事には、まるで作り手によるエゴの塊のように見えるかもしれない模様を作品全面に彫り込んだものもあります。”We Are Atoms”と呼んでいるシリーズです。文字通り「私たちは原子」ということなのですが、私たち人間を含めた地球上に存在する物質はことごとく様々な種類の原子が集まってできています(とは言っても宇宙のほとんどは暗黒物質やら暗黒エネルギーやら訳のわからないもので構成されているようですが)。原子でできているという意味では皆同じ。わずかな違いが日々経験する多様性を生み出しているのですから本当に驚きます。僕が彫っている模様は物質の表面に並んでいる原子や分子の配列(とても美しくそして多様です)から着想を得たものです。与えられた条件に応じて、主に近くの原子と相互作用しながら安定な配列を求めて動いていくさまを、木の仕事で表現したい。修行中からずっと思い続けてきましたが、試行錯誤の末「彫刻刀でまっすぐに彫り進め、どこかで曲がる」という無意識に近い単純作業を繰り返すことで、微小なものたちが作り上げている世界のほんの一部をなんとなく(定性的に)再現することが出来ました。We are atoms. 多様な世界の細かい違いを意識するよりも共通点に注目すると、私たちの暮らし、生き方も変わってくるように思います。


 F/styleのふたりにはもう10年近く、僕が作ったものを使っていただいています。今展では、ふたりが知っている僕も知らない僕も、ふたりにもみなさんにも楽しんでいただけましたら幸いです。

富井貴志

出品作品/拭漆やオイル仕上げによる皿・鉢・カトラリなど, 独自の彫模様を施した”We Are Atoms”シリーズの1点もの, etc


富井貴志 |Takashi Tomii

1976年新潟市生まれ。2002年筑波大学大学院数理物質科学研究科中退。森林たくみ塾にて木工を学ぶ。2004年オークヴィレッジ株式会社に入社。2008年独立し京都府相楽郡南山城村に工房開設。以後国内外で個展多数。2015年長岡市に工房を移転。2019年第93回国展にて準会員優作賞受賞。