07-09-23_09-37.jpg2日目。3時起床。早速朝食の準備を始める。Sさんと朝飯用に準備したのは食パンとFさんに初めて見せるSKIPPY。SKIPPYとは、SUPER CHUNKのこと。要するにピーナッツ片入りのピーナッツバター。こいつをたっぷりとパンに塗りつけて3人で食する。スープとコーヒーも一緒に。コーヒーなしではとても食べられたものではない。朝から超高カロリーを摂取し、水を汲みテントを片付けて、いざ北鎌沢を登る。・・・ものの、途中道を間違え、左俣を少し登ってしまう。後ろを振り返るとヘッドランプは違う方向へ。ひょえーっと下って右俣に取り付く。ひたすらの沢登りだが、沢の水を飲みながら快調快調。2時間で北鎌尾根に。出合にはテントを張っている人あり。この方とは後ほど再開し、長い時間ともにすることになる。尾根の歩き始めは、その辺の裏山縦走のよう。しかし、独標直前からガラっと趣は変化し、一気に北鎌ワールドへ。まずは片側切れ落ちの細いロープゾーン。まずはFさん行く。「ガラガラガラっ!!」落石。Sさん落とさずに行く。僕、「ガラガラガラガラっ!!!」落石。後から来る人たちもじゃんじゃん石を落とす。よくこれだけ落ちるものがあるなと感心する。次は、頭抑えられつつ片側は数百メートル落ちているという恐ろしい場所。後から来た鉄人たちは難なく通過していくが、僕らは一応ロープを使いビレイ。確かに万が一を考えると恐い。もしも足元の岩が落ちたら間違いなくあの世行き。その後は踏み痕頼りの心細い道。ここはどっちだ?次はどっちだ?ここを本当に通るのか?北鎌は次々と問題を出してくる。それをゆっくりと解きながら、進み続ける。あるところは直登。あるところは巻く。そんなことを繰り返しつつ、恐怖の瞬間を幾度と無く味わい、大槍直下に到着。

07-09-23_12-54.jpgとりあえず最後の登りに備えて休む。アミノバイタルとソイジョイ。グーンとパワーアップ。しかし・・・どこから取り付くのだ?と思っていると、北鎌尾根に出たところでテントを張っていた人と再会。この方は一度北鎌から登った事がある人。少し後をついていくことにする。大槍の登りになると、岩が硬い。しっかりとしたホールドを味わいながらどんどんと登っていく。画像は頂上直下のチムニー。豪快に登ると頂上からたくさんのギャラリー(反対側から登ってきた人たち)が見下ろしている。もう少しだ!少し登る。そこにいた20人くらいの人たちが皆大きな拍手をしてくれている。




07-09-23_13-03.jpgついに登頂!なんだ、この嬉しさは?山に登ってこんなに感動したのは初めてだった。やっぱり山は素晴らしい。そう思った瞬間は、数日たった今でもまだはっきりと心に焼き付いている。

北鎌は、○も×もない世界だった。自分でどちらに進むか選ばなければいけない世界。一つ間違えば命もなくなるかもしれない世界。お金が役に立たない世界。

2日目の先は長い。この後、西岳ヒュッテのテンバへと東鎌尾根を急ぐのである。